〈新任部局長に聞く〉熊木正人厚労省老健局長 報酬改定「階段状」も視野

2026年10月11日 福祉新聞編集部
熊木局長

 ――就任の抱負を聞かせてください。

 老健局は、介護保険制度が施行された直後に課長補佐として勤務して以来です。当時、省内外で非常に熱い議論が交わされていたのを覚えています。近年、物価高騰や賃金上昇、高齢者が減る地域の増加など、介護を取り巻く環境は大きく変わりましたが、四半世紀前と同じような熱量を持って職務に当たりたいと思います。

 ――2027年度の介護報酬改定に向けた議論も進んでいます。

 最も重要なのは人材確保に向けた他職種と遜色のない処遇改善の実現です。公定価格の適切な設定は重要な責任だと考えています。

 同時に、これまでそれほど正面から語られなかった物価高騰への対応も必要です。人件費も物価もともに上昇する局面にある中で、26年度診療報酬改定では、年度ごとに改定率に差を設ける階段状の仕組みが採用されました。介護報酬でも参考になると考えています。 

 ――事業所も厳しい経営環境が続いています。

 利用者の減少や、人材難など、さまざまな要因をしっかり把握し、データに基づいて議論したいと考えています。

 事業所の負担を減らすため、介護報酬の簡素化も必要です。制度創設時は診療報酬のように複雑な仕組みを避けようとする考えがありました。しかし、さまざまな課題に対応してきた結果、加算や減算などの要件が複雑になっています。

 もちろんきめ細かな対応は必要ですが、誰にも分かりやすく、事務負担も減らす視点も重要です。取得率が極端に低い、または高い加算は、一つひとつ確認したいと思っています。

 ――介護テクノロジーなどによる生産性向上をどう考えていますか。

 老健局に戻って、時代が変わったと特に感じたのが介護テクノロジーの導入です。今後も伸びしろのある分野だと思っています。

 介護テクノロジー導入の狙いは、サービスの質向上と職員の業務負担軽減です。間接業務や周辺業務を効率化できれば、直接的なケアや、研修などの時間に充てることができる。また、短時間勤務の正社員や、週休3日制など働きやすい職場環境づくりも大切です。

 近年現場の努力のおかげで、介護職員の離職率が以前に比べて低下傾向にあることは、非常に評価されるべきだと思います。これからも官民を挙げて総合的にさまざまな施策に取り組みたいと思います。


 1970年生まれ。東京都出身。東京大卒。93年入省。

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