意思決定支援も業務 厚労省が医療SW指針改訂案
2025年12月28日 福祉新聞編集部
厚生労働省は12月17日、医療ソーシャルワーカー(MSW)の業務指針の改訂案を明らかにした。MSWの標準的な業務に「患者の意思決定支援」を加えた。MSWが自分の所属する医療機関や地域社会に貢献できるよう体制整備することも、指針の柱の一つに位置付けた。
2040年を見据えた地域医療構想について検討する同日の「在宅医療および医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長=野口晴子早稲田大教授)に示し、了承された。3月にも医政局長の通知として出す。指針改訂は23年ぶり。
指針改訂のプロジェクトチーム(PT)座長の村松圭司千葉大特任教授が検討会で改訂案を説明し、PT構成員の早坂由美子日本医療ソーシャルワーカー協会長が参考人として出席し補足した。
2002年に改訂された現行の指針に比べ紙幅は減った。一方、具体的な実践内容は日本医療ソーシャルワーカー協会がつくる独自基準に盛り込む。厚労省はその独自基準を参照して業務に当たるよう指針に明記する。
意思決定支援は、身寄りのない患者の入院治療や、人生最終段階の医療・ケアといった場面を念頭に置き、医療・ケアチームの一員としてMSWが調整に当たるとした。
入院だけでなく外来や在宅医療の場面でも療養に伴う生活課題が顕在化し、MSWが向き合う課題も多岐にわたるため、それに対応できる体制が医療機関には求められる。
現行の指針も体制整備の必要性は記載しているが、改訂案は指針の柱の一つに格上げした。大病院ではMSWの所属する部門が目標を定めて業務や人材育成、研修に当たる実態があり、改訂案もそれを推奨する。
MSWは固有の国家資格を持たず、社会福祉士や精神保健福祉士が採用条件とされる実態がある。改訂案には「医療機関等の管理者の監督の下に、社会福祉の立場から」「社会福祉士がMSWを担うことが想定される」といった記載がある。
業務指針に法的な拘束力はないが、MSWが自身の業務を対外的に説明する際や、MSWを養成する上でのよりどころになる。

