高額療養費、再検討の委員会発足 患者団体から2人参加

2025年0602 福祉新聞編集部
患者団体の代表として委員に就いた大黒氏(左)

医療費の患者負担を抑える「高額療養費制度」の見直しを再び議論する厚生労働省の専門委員会(座長=田辺国昭東京大大学院教授)が5月26日、初会合を開いた。委員は13人で、患者団体の代表が2人入った。政府は見直し案を今秋までにまとめるとしており、短期集中型の議論になる見通しだ。

委員に就いた患者団体の代表は51の加盟団体を持つ全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長、103の加盟団体を持つ日本難病・疾病団体協議会の大黒宏司代表理事の2人。

天野氏は患者の自己負担の上限を引き上げる場合でも、個々の支払い能力と照らして加重な負担にならないよう検討することを求めた。大黒氏も「患者に納得のいく説明が必要だ」と訴えた。

昨年12月末の政府案を決める過程で患者団体の意見表明の機会がなかったという反省を踏まえ、同日の専門委員会は冒頭でこの2人の意見を求めた。患者の家計や生活、受診に与える影響を分析することが検討の軸になる見通しだ。

高額療養費制度は、患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を医療保険制度で払い戻す仕組み。政府の見直し案は今年8月から3回に分けて自己負担の上限を引き上げるものだった。

患者団体の反対の声が強まったことを受けて政府は修正を重ね、石破茂首相は3月7日、全面凍結すると表明。4月にはこの問題で政府に要望する超党派の国会議員による議員連盟も発足し、衆議院厚生労働委員会は患者が再検討の場に参加するよう決議した。