大胆な改革が少子化対策の鍵〈コラム一草一味〉
2026年07月12日 福祉新聞編集部
新島学園短期大学 教授 草間吉夫
少子化問題の端緒は、合計特殊出生率が1・57を記録した1990年にさかのぼる。状況は悪化の一途をたどる。
厚生労働省発表の2025年の同出生率は1・14で10年連続下落。67万1236人の出生数は、23年の国立社会保障・人口問題研究所推計より15年前倒しだ。晩婚化や未婚化、初産年齢の上昇は常態化し、社会保障の担い手不足や現役世代の負担増など、国の持続性が極めて危うい事態に直面している。
少子化が加速する要因の第1は、子育てや教育に多額の費用がかかる経済的負担である。私が勤務する2大学で少子化問題を学生に議論してもらうと、この指摘が最も多い。第2は、仕事と育児の両立が依然として難しいことだ。待機児童は減少しているが、希望保育所の入所が難しいことや、家事・育児の負担が女性に偏っている状況は解消されていない。
国は1994年のエンゼルプラン策定を手始めに、2003年に少子化社会対策基本法・次世代育成対策推進法、12年に子ども・子育て支援法が公布され、06年には認定こども園制度を開始。23年には、こども家庭庁が創設され、26年からはこども誰でも通園制度を開始するなど、順次必要な施策を打ち出してきたが効果は見えない。
フランスや北欧、千葉県流山市の先進例、人口戦略会議の最新知見などに学び、国家の緊急課題との認識の下、背水の陣で挑むことが肝要だ。
次は大胆な改革の断行だ。四つ提案したい。第1は、経済的不安を解消すべく、大学院までの教育費をすべて完全無償化する。第2は、こども家庭庁を省に昇格させ、政策実行力を上げる。第3は、財源確保だ。子ども・子育て支援金制度が開始されたが、財源は不十分だ。さらなる支援金アップか、こどもの費用を次世代インフラへの投資と考え、建設国債と同様、こども国債を発行し、恒久財源を確保する。第4は、意識改革だ。福祉学泰斗の三浦文夫氏と生前、少子化対策を議論した際、「国がどんなに予算を組んでみても、男女の平等意識が高まらない限り少子化は解消されない」と北欧を例に喝破された。男性の意識改革の断行だ。
覚悟と大胆な改革は、国難を打開する鍵だ。

