合言葉は「介護職目指せ」 障害者の就労支援〈明清会・山梨〉

2026年0529 福祉新聞編集部
広い玄関ロビーで開かれたボランティアによるコンサート=昨年12月26日、明清会提供

 障害者の働く場を広げ、生きがいを――。山梨県富士吉田市の社会福祉法人明清会が高齢、保育、障害の3分野にまたがる全国初の「ケイワソーグループ複合型福祉施設」を立ち上げて3年余。障害者の雇用率は高く、立川篤志理事長(53)は「障害者の社会進出に加えて介護人材不足という社会問題の解決につながる」と〝福福連携〟に意欲的だ。

 複合型福祉施設は3階建て、総床面積約4000平方メートル=配置表。1階ロビー中央にグランドピアノが置かれ、マンションの玄関のようだ。映画館を利用しづらい障害児にアニメを上映し、ボランティアによるイベントなどに使う。

 「前例のない造りで、県と市では決断がつかず、認可するかどうか、厚生労働省まで上がったと聞いた。でも、断る理由もなかったようです」と立川理事長。大学で建築を学び、大手デベロッパーへ入ったあと地元の明清会へ転身、一から福祉を学んだ。2017年に3代目のトップに。「従業員の満足なくして利用者の満足なし」を持論に、積極経営で「くるみん」など四つの認定マークを受けている。いまなお見学者が訪れるという。

雄大な富士山を望む複合型福祉施設=明清会提供

 「病児保育をする機関が地域にない。頼めないか」

 きっかけは自治体などからのこんな声だった。18年に職員と検討をスタート。病児・病後児対応型保育園の単独運営は採算に乗らないとし、就労継続支援A型事業への新規参入を含め7事業一体の合築方式へたどり着いたという。

 それまで法人では特別養護老人ホームや保育所の清掃などで障害者を雇用していたが、「この人たちは社会へ出ても十分活動できる」との職員の意見をもとにA型事業所も組み込んだ。

 障害者を含め0歳から102歳まで多様な人が同じ屋根の下で時間を過ごす。「2階の廊下をお散歩よ」と3階の幼児がにぎやかに回ると、お年寄りは個室のドアを開けて出てくる。言葉を掛け、和やかに。放課後等デイサービスに来る児童はエレベーターなどで障害者とすれ違う。「こどもたちは障害者の存在をそのまま受け止め、お年寄りは元気になる。初めはこうした接触がどうなるか心配したが、特に問題ありません」。現場を束ねる瀧口智大ともひろ理事(49)は言う。

 A型事業所では現在、精神、知的、身体と障害のある15人が「介護職を目指し」、マンツーマンで指導を受けながら介護助手、配膳、清掃などに精を出す(土日・年末年始を除き毎日)。この15人を含め23人が就労(雇用率15・7%)、法定雇用率(2・5%)をはるかにしのぐ。うち8人は一般就労だ。その一人、「介護職員初任者研修」(旧・2級ヘルパー)資格を持つ女性(37)は、介護福祉士の取得を目標に病院実習などに励む。給与は職員と同等で、「好きだった祖父母を介護しているようで楽しい」と笑顔で語った。


 明清会 地元の篤志家が福祉の道を目指して2003年設立。翌年、特養ホームを開いた。「子ども・高齢者・障害者など全ての人が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高めあう」を理念に、富士吉田市内2カ所で計16事業を展開。職員195人。

 四つの認定マーク 「くるみん」優れた子育てサポート企業(次世代育成支援対策推進法、19年度)▽「えるぼし」女性活躍に尽す企業を3段階で認定(女性活躍推進法、20年度)▽「ユースエール」若者を採用・育成し、離職率などの低い中小企業(若者雇用促進法、21年度)▽「もにす」障害者雇用率の高い従業員300人以下の中小事業主(障害者雇用促進法、24年度)=いずれも厚労省認定。

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