医療的ケア児支援法改正への願い〈コラム一草一味〉
2026年05月16日 福祉新聞編集部
社会福祉法人旭川荘 前理事長 末光茂
1歳児で保育園に入園した人工呼吸器が離せない「医療的ケアスコア」47点のAちゃん(本紙2023年12月5日付で紹介)も小学2年生。
この数年で、訪問診療やインクルーシブ保育などが大きく普及した。「医療的ケア児支援法」の成果で、施行後3年の見直しに向けた作業が今進んでいる。
一方で、新たな課題も顕在化している。新生児集中治療室(NICU)に長期滞留する子が増加中であり、小中学校の看護師配置もまだまだ不十分だ。在宅の半数は18歳以上で、親の高齢化と亡き後が心配。
これらの解決には、関連分野との連携が不可欠だ。相互の幸せ、ひいては地域包括支援体制の整備に大きく寄与してほしい。特に重症心身障害児者(以下、重症児)との連携が大きな鍵になる。
医療的ケア児の6割は重症児だが、NICUからの転院には、看護師の配置基準や診療報酬の差が大きな壁になっている。その重症児施設は多くの待機児を抱える一方で、入所者については病状が安定し条件次第ではグループホーム(GH)などへの移行が可能なケースが3割いる。この間の流れを滑らかにするには、看護体制の強化と医療的ケアに対応できるGHなどの整備、職員確保・育成が不可欠だ。
NICUに滞留している子の中には社会的養護児が一定数いるが、親代わりの支援者による医療的なケアのハードルを下げる方策が必要だ。
生涯にわたる切れ目のない支援については、幸いにも2年前の「こども基本法」で、「『こども』とは18歳や20歳といった年齢で区切るのではなく、心身の発達過程にある者をいう。医療、保健、福祉、教育、療育などの関係機関の有機的連携の確保に努めなければならない」とうたっている。
種痘後脳炎で寝たきりの重症児になったKHさん。24歳で重症児施設に入所し、専門的支援により40歳で初めて寝返りを、48歳で絵筆を手にするまでに成長した姿は希望の星だ。
医療的ケアがある大人と重症児者を包含した「医療的ケア児等および重症心身障害者支援法」に向けた改正作業の意義は大きい。どんなに障害が重くても、生涯切れ目のない発達を保障する環境の具現化を切望する。

