特養でスキマバイトを活用 本採用になる例も〈桧原苑・東京〉
2026年04月20日 福祉新聞編集部
短時間で単発の仕事をする「スキマバイト」を活用する介護施設が増えている。東京都檜原村の特別養護老人ホーム「桧原苑」(社会福祉法人緑水会、岡部義和理事長)は昨年度38人のスキマバイトを採用した。現場の人手不足を補い、職員の負担を軽減するだけでなく、スキマバイトから正職員になった人もおり、人材確保につながる手段になるとみている。
同苑は個室ユニット型で定員120人(うち短期入所2人)。約10年前に新築移転し、稼働率は97~98%を維持。在宅生活が困難な要介護1、2の利用者も多く、3月時点の平均要介護度は3・23。利用者が希望する外出先に出掛けたり、野菜を育てたり、自宅と変わらない生活を送れるよう支援している。
職員は94人。そのうち介護職員は57人(外国人材13人含む)。離職率は低いが、昨年5月、3人の育休職員のほかに病欠する職員が複数重なり、スキマバイトを活用することにした。
入浴介助に特化
スキマバイトは単発で依頼しやすい入浴介助に特化し、介護福祉士などの資格を持つ経験者を募集。当初は求人サイトで午前9時~午後6時で募集したが応募がなく、午前と午後に時間を区切って募集すると多くの応募が集まった。昨年度は4カ月で111件募集し、94件の応募があった。採用人数は38人。大半は介護施設などで働いている人だという。
勤務初日に虐待防止や感染対策などについて新人職員用の説明を行う。入浴介助の留意点や担当する利用者の身体的特徴を伝え、1回の勤務で3~4人の個浴介助などをしてもらう。事前に採用面接で会うことはなく、初対面で入浴介助をしてもらうことになるが、小南敦子介護課長は「経験者なので不安はない。職員も気に掛けるようにしており、これまでトラブルは一度もない」と話す。
求人サイトにかかる費用は募集案件報酬の30%。例えば、時給1320円で3時間働き、交通費800円の場合、1428円となる。スキマバイトから正職員採用になっても費用はかからない。
介護職員にも刺激
スキマバイトから正職員になった松田剛幸さん(51)は、介護福祉士で特養や老人保健施設での勤務経験がある。スキマバイトを始めた理由は「給与をもらえて職場探しができる。面接や施設見学だけでなく、実際に働いた方が施設のことがよく分かる」と言う。同苑で5~6回スキマバイトをしてから昨年8月に入職した。
同苑ではスキマバイトを活用することで人手不足を補い、職員の負担を軽減できる。外部の人が施設に入ることで職員の刺激にもなる。また、新たな人材確保のルートにもなると期待しており、渡邉昇施設長は「職員を募集しても施設見学すら来てくれないが、スキマバイトが出会う機会になる。人手不足の時だけでなく、常時活用することを検討している」と話す。

