児童養護施設の方向性を議論 実践学会に150人

2026年0313 福祉新聞編集部
シンポジウムは法政大の岩田美香教授(左端)がコーディネートした

 一般社団法人日本児童養護実践学会の第18回研究大会が2月28日に、法政大(東京都千代田区)で開かれた。児童養護施設の職員ら150人が参加し、今後の施設の方向性について議論した。

 シンポジウムには舞鶴学園(京都)の桑原教修理事長、常徳会(北海道)の秦直樹理事長、二葉学園(東京)の武藤素明統括施設長が登壇した。

 全国児童養護施設協議会前会長の桑原氏は、1990年代以降の社会的養護をめぐる状況を説明。中でも2017年に厚生労働省がまとめた新しい社会的養育ビジョンは、児童養護施設に対する評価がなかったと振り返り、里親委託率の数値目標はいまだに根拠が示されないと指摘した。

 ただ、新ビジョンによって施設の小規模化が進んだことは評価した。その上で「地域における子育ての専門機関として、養育と運営の質を担保することが重要だ」と語った。 

 秦理事長は、小規模化による職員の分散は施設全体として養育力の低下につながる可能性を指摘した。また人口減少の加速により、特に地方では撤退を検討する時期にきているとし「心理や治療などの専門的支援や家庭支援、地域支援などニーズに合った児童養護施設を目指すべき」だと訴えた。

 武藤統括施設長は、都内の児童養護施設はケアニーズが高いこどもが増えているため入所率が87%にとどまっている現状を説明。「児童養護施設の〝地域化〟のためには本体機能の充実が絶対的な命題だ」と語った。

 このほか学会では全国社会福祉協議会の村木厚子会長も登壇。厚生労働省や民間での活動も踏まえ「ほかの福祉分野は契約制度である中、児童養護は措置制度が残っている。だからこそ、当事者がサービスを選択できる仕掛けを作らないといけない」と述べた。また「里親か施設かではなく、実親も含めて当事者にとっての最良を皆で考えるべきだ。それぞれに足りないものを外から大人が動いて補う仕組みも必要」と私見を語った。

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