安心できる終活支援 福祉法人が身元保証〈静岡市〉

2026年0105 福祉新聞編集部

静岡市は保健福祉長寿局内に安心感がある温かい社会推進課を新設し、市民の終活を支援する「未来のあんしんに向けた取組」=図=を展開している。背景には独居高齢者世帯や未婚率などが増えるとともに、生前準備や死後事務(葬儀、家財処分など)に対する市民の不安の声が寄せられ、家族頼みの対応に限界が生じていることがある。

特徴的な事業が専門スキルのある民間の力を活用する「終活支援優良事業者の認証」だ。「利用者から遺贈を受けない」「サービス内容や費用をウェブサイトに掲載している」など30項目の基準を満たせば認証を付与する。市が関与して質を保証するもので、現在2者が認証を受けている。

さらに市の関与を1段進めたのが、原則65歳以上で頼りになる親族のいない人が対象の「エンディングプラン・サポート」。利用者が認証事業者と契約した後、市が死後事務を最後まで見届ける。契約を公正証書で作り、市の外郭団体が死後事務の経費となる預託金を管理する。継続的に生活状況や契約内容の変更に関する意思確認も行う。

課の職員は8人。中には保健師や社会福祉士もいる。2025年度の事業予算は約400万円。そのうち75%は国のモデル事業として補助金を活用している。山本哲生局長は「事業の利用者数も大事だが、市民の安心感を高めることが目標」と話す。

安心感がある温かい社会推進課の職員が対応する

事業の第2の柱に

認証事業者の一つ、社会福祉法人まごころ(増田正寿理事長)は静岡、川崎両市で特別養護老人ホームなどを運営している。身元保証事業を始めたのは22年1月。身元保証人が保証会社の特養入所者が増え、頼れる人がいない人を社会貢献として支えようと考えた。

契約は生活支援も含めた「身元保証」と「死後事務」がある。死後事務では預託金を行政書士や信託会社が管理し(エンディングプラン・サポート利用外の場合)、死後事務後に実際に掛かった費用が支払われ、残金は遺言書などに基づいて処理される。

利用料金は、身元保証が契約時27万5000円、月5000円、生活支援は別途。死後事務は死後直後対応5万5000円、火葬5万5000円、退院手続き3万3000円など。相場より低価格に設定し、すべて法人のウェブサイトで公開。「寄付の勧誘や強要はしない」「契約時は第三者が立ち会う」ことなども明示している。

法人の公益事業として取り組み、職員3人(2人は専属)が月1回は利用者宅を訪ね、希望に応じて生活支援も行う。市の認証を受けた後に契約が増え、現在の利用者は累計で95人。当初は赤字だったが、24年度は黒字となり、25年度も増収が見込める。田中努身元保証事業部長は「身近に頼れる身寄りのいない人が増える現代社会において、本事業は社会的ニーズが高く、社会福祉法人が担う公共性と親和性の高い取り組みであり、将来的には第2の事業として確立できる」と期待を込める。

課題は低所得者対策

今後の課題について、市も法人も低所得者対応を挙げる。加えて利用者の人生に関わることに対する負担もある。市の山本局長は「日常の困り事の相談も多く、社協や社会福祉法人など地域の支援につなげることも必要になる」と話している。

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