預託金で火葬、納骨まで 本人、市社協、業者が契約〈京都市、市社協〉

2026年0104 福祉新聞編集部

人口約144万人の古都も、高齢化の波に洗われている。京都市の65歳以上の高齢者は約41万人で、高齢化率は2025年10月時点推計で28・5%となっている。40年には、3人に1人を高齢者が占める「超高齢都市」になる見通しだ。

そんな中、同市は先駆的に身寄りのない高齢者対策を進めてきた。19年12月から京都市社会福祉協議会に委託して始めた市単身高齢者万一あんしんサービス事業もその一つだ。

利用者は自ら選んだ葬儀社と市社協の3者で契約を結び、一括して市社協に25万円を預託する。

生前には、おおむね月1回の自宅訪問や月2回の電話による安否確認を実施。必要があれば介護保険や成年後見制度などにつなぐ。

利用者の死後、市社協は預託金を使い、葬儀社に遺体を安置。その後、市中央斎場で火葬し、市深草墓園に納骨するという。

希望者には、生前に見積もりを出した上で、死後に家財も処分する。

持ち家も利用可能に

同事業は24年度から国のモデル事業になった。24年度予算は300万円だったが、25年度から500万円に増額した。

同時に、利用できる対象要件を緩和した。持ち家に住む人も事業対象とし、預貯金の上限も240万円から350万円に引き上げた。

この結果、25年度の相談者は、昨秋時点で24年度の計270件を上回り、最終的には400件を超える勢いに。

新規契約者も24年度の7件から10件前後に増える見通しだ。契約者数は25年12月時点で70~90代の21人で、男女半々だという。

事業を主管する市介護ケア推進課は「これまで預貯金や持ち家の要件で対象外になる人が多かったが、今は改善が進んでいる。全国の社協や自治体の視察も増えた」と話す。

生前支援にもやりがい

身寄りのない相談者は、今の生活に不安がある人も多く、死後、周りに迷惑を掛けたくないという思いで訪れるケースが多いという。

市社協長寿すこやかセンターの担当者は「定期的な見守りがなかったら、状況の変化に気付けない」と話し、安否確認の重要性を強調する。また、利用者はもとより、家主さんの安心につなげることも大切だという。

市介護ケア推進課の担当者は「支援内容をお伝えして、『いい制度ですね』と関心を持ってくれたときはうれしい」と話す。市社協の担当者も「信頼関係を築いて介護保険などの福祉サービスにつなげられた時にやりがいを感じる」と語る。ソーシャルワークの実践機会を得ることに、仕事の魅力を感じている。

体制の整備が急務

今後、厚労省は身寄りのない高齢者の支援について、福祉サービス利用援助事業を拡充して対応する方針を示している。

市介護ケア推進課は「明らかに身寄りのない高齢者は増えていて、必要な支援だと考えている。国は十分な財源を確保し、しっかりした体制をつくってほしい。全国どこでも差がなく、必要な人が受けられるサービスであることが重要だ」と話している。

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