施設外へ避難訓練 中重度障害者を移送〈かんなの里・群馬〉
2025年12月04日 福祉新聞編集部
群馬県藤岡市の障害者支援施設「かんなの里」(社会福祉法人かんな会)は11月21日、水害を想定した避難訓練を行った。中重度の障害のある全入所者49人が、約2キロ離れた群馬医療福祉大藤岡キャンパス内の体育館に車で避難し、体育館を避難所として設営した。DWAT(災害派遣福祉チーム)、行政、社会福祉協議会なども参加した。
入所者が施設外に避難する訓練は初めてで、BCP(事業継続計画)の通り実行できるかを検証した。施設は市のハザードマップで浸水被害3メートルエリアにあり、同大とは避難所に関する覚書を締結している。
訓練は台風が近づき、警戒レベル2(避難行動確認)を想定。施設内に避難するアナウンスが流れて行動が始まり、まずは職員の車を福祉大に移動させた。「車が水没すれば職員の生活に影響し、サービス再開も遅れる。意外とBCPから抜けている」(鈴木伸明県社協災害福祉支援センター所長)という。
入所者の避難は安全に円滑にできるよう、性別、障害の程度などを考慮して順番を決め、法人の車7台が2~3往復して移送。車いすや備蓄品なども運んだ。
施設と体育館では担当者が随時連絡を取り合った。体育館内は4エリアに分け、エアマット49個を設置し、避難してきた入所者を受け入れた。エリアを色テープで区分けして分かりやすくし、体育館奥のエリアから受け入れて、入り口が混雑しないようにした。
訓練は目立ったトラブルはなく、想定より早く終えた。避難の手順や時間、避難先で必要な備品などを確認できた。島野健太郎総合施設長は「入所者が外部に避難する訓練は初めてで不安もあったが、落ち着いていた。エアマットがあることで入所者は自分の居場所が分かって安心できた」と話した。後日、施設で訓練を振り返り、気付いた点を改善していく。
訓練には個別避難計画を策定している市内在住の障害者と家族も参加した。

