介護経営、大規模化を 社会保障をテーマに議論(財政審)
2024年11月25日 福祉新聞編集部財務省は13日、財政制度等審議会財政制度分科会を開催した。2025年度の予算編成に向け、社会保障をテーマに議論。財務省は、若者や子育て世帯の手取り所得を増やすため、介護保険料の上昇を抑制する必要があると指摘。今後の改革の方向性として、生産性向上に向けた経営の大規模化などを挙げた。
財務省によると、24年度予算ベースの介護費用は14兆2000億円。介護保険が始まった00年度の約4倍に増えている。一方、24年度の介護保険料(第1号)は全国平均で月6225円と、00年度の2倍。40年度には月9000円を超えるという。
これまでも、特別養護老人ホームへの入所を原則要介護度3以上とすることや、利用者の所得額に応じた3割負担の導入など適正化に取り組んでいる。しかし、今後も高齢者の増加と現役世代の減少は止まらないことから、財務省は「さらなる改革が不可避」と指摘した。
改革の方向性については、生産性向上に向けた経営の協働化や大規模化を挙げた。具体的には連携推進法人が活用した人材育成の取り組みなどを紹介。また、特養職員の給与を見ると、利用者数が多いほど職員の給与も高いという。
同様に、ICT(情報通信技術)機器を導入し、業務効率化による職員負担を軽減する。その上で「特養などにおける人員配置基準のさらなる柔軟化に引き続き取り組むべき」としている。
人材紹介会社の規制も強化する。民間会社経由で採用すると、高額の手数料が掛かる上に離職率も高く、不安定なのが現状だという。そのため、就職時の祝い金や転職推奨を禁止し、職種ごとの紹介手数料を「見える化」する考えを示した。
このほか財務省は、ケアマネジメントの利用者負担の導入や、介護保険における2割負担対象者の拡大などについても提示した。