保護司の報酬制見送り 任期は3年に延長(法務省)

2024年1015 福祉新聞編集部

法務省は9月27日、犯罪や非行をした人の立ち直りを支える「保護司」を安定的に確保するための検討会(座長=倉吉敬前中央更生保護審査会委員長)を開き、最終報告をまとめた。保護司に報酬を支払うことの制度化も検討したが、その導入は見送った。

保護司が自らの人脈を頼りに後任を探す従来の手法には限界があるとみて、インターンシップやセミナー開催などを通じて候補者を募る「公募制」の導入も議論したが、一斉の導入はせず、「保護司会」(全国に886)ごとの判断で試行するにとどめた。見直し内容は全体的に小粒なものとなった。

ただし、保護司法の改正案は、早ければ2025年の通常国会に提出する。

例えば、保護司の任期(2年)は3年に延ばす。保護司の活動に対し、地方公共団体が「必要な協力をすることができる」とした現行の規定は「努力義務」に格上げする。

現役世代が仕事をしながら保護司の活動をする環境も整える。雇用主が保護司活動をする従業員に対し、職務専念義務を免除したりすることを法的に後押しする。

保護司は刑務所や少年院を出た保護観察中の人と定期的に面会し、生活や仕事の相談に乗るボランティアで、保護司会の推薦を受けた候補者の中から法務大臣が委嘱する。

5万2500人の定数に対し、現員数は22年1月時点で約4万6700人(充足率89%)。60歳以上が約8割を占め、高齢化や担い手不足が課題となっている。