65歳以上の就労後押し 高齢社会対策大綱を決定

2024年0927 福祉新聞編集部

政府は13日、高齢社会対策大綱を閣議決定した。高齢化と生産年齢人口の減少が進む中、社会の持続可能性を確保するためのあらゆる備えが急務だと訴える。高齢者でも働ける環境を整備することで65~69歳の就業率を2029年までに57%にする目標を掲げた。

23年時点で65歳以上の割合は29%。25年に団塊の世代が75歳以上となり、高齢化は40年代前半にピークを迎える。生産年齢人口は40年までに1200万人減少する見込みだ。

一方、平均寿命はこの20年で約3歳延びており、65歳以上の就業者数は20年連続で前年を上回っている。

大綱は持続可能な社会に向け、高齢期でも就労などの機会が得られる環境整備や、地域のセーフティーネット機能を高めることが必要だとしている。

仕事内容や働きぶりに合わせた賃金体系など、アウトプットに基づく処遇を整備することが必要だと指摘。65歳以上の年齢への定年延長や、66歳以上の継続雇用制度を導入する企業を後押しすることなどで、23年時点で52%の65~69歳の就業率を29年までに57%に引き上げる目標を掲げた。

同時に、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう住まいや医療、介護などを一体的に提供する地域包括ケアシステムの重要性を訴えた。介護職員の処遇改善や、ICT(情報通信技術)などテクノロジー活用による業務負担の軽減も指摘。人材確保では、中高年齢者や外国人など多様な人材の参入促進を挙げている。

このほか、地域の移動手段を確保するため、地域限定型の無人自動運転移動サービスの拡大や、75歳以上の医療費の窓口負担を3割とする対象拡大の検討などが盛り込まれている。