農福連携30年度までに1万2000件以上に 改定ビジョンで目標

2024年0616 福祉新聞編集部

政府は5日、農福連携等推進会議(議長=林芳正内閣官房長官)を首相官邸で開き、2019年6月に策定した「農福連携等推進ビジョン」を初めて改訂した。22年度末で6343ある農福連携の主体(農業法人やJAなど3000、特例子会社51、障害者就労継続支援A型641、同B型2651)を30年度までに1万2000件以上に倍増する目標を掲げた。

19年ビジョンの目標は24年度末までの5年間で新たに3000件増やすことだった。22年度末までの3年間ですでに2226件増えており、目標は達成される見込み。

ただ、農業法人やJAなど農業経営体は全国に約93万ある中で農福連携に取り組んでいるのは0・3%に過ぎない。一般の人の農福連携の認知度は8%で、積極的に農福連携を推進している市町村も5%にとどまる。

こうした課題を踏まえ改訂ビジョンでは、市町村も参加する地域協議会を200以上とすることも新たな目標として設定した。地域単位で複数の農業、福祉関係者が知り合い、ルールを作って取り組めるよう後押しする。障害者が働きやすい環境を整備し、コーディネーターなどの専門人材を育成する。特別支援学校で農業者が指導するなどして未来の担い手の育成にも力を注ぐ。

また、11月29日を「ノウフクの日」と定め、普及啓発活動を行う。引きこもり、触法者ら社会的な支援が必要な人の農福連携への参画や、林業との「林福」、水産業との「水福」連携も推進していく。

農福連携は障害者らが労働力不足の農業の担い手となり、生きがいや自立につなげるもの。会合で林内閣官房長官は「政府一体となって厚生労働、農林水産省を中心に法務、文部科学省とともに農福連携を一層推進する」と述べた。