児童養護施設退所者の自立を応援 NPOが空き家を活用(東京)

2024年0521 福祉新聞編集部
庭もあり交流の場として活用できる

NPO法人東京里山開拓団(堀崎茂代表)は4月1日、東京都世田谷区と豊島区に児童養護施設退所者向けのシェアハウス「まちごろりん」を開設した。増加する空き家を、住まいの確保に苦労する退所者が活用するプロジェクト。最長5年間、無料で住むことができ、将来に備えて毎月家賃相当額を積み立ててもらうなど、退所者の自立を応援する。

同法人は2009年から東京・多摩地域で、児童養護施設のこどもが荒れた山林や空き家を再生して自分の故郷をつくる活動をしている。堀崎代表は「こどもは困難を楽しんで乗り越える力を持っている。同じことが都心でもできないかと考えた」と話す。

定員は世田谷5人、豊島2人。各部屋は約10畳でキッチンやトイレは共用。同法人のボランティア会員を含めて18~27歳の5人が入居する。会員が管理人となり、専門的な支援は入所していた児童養護施設と連携して対応する。

毎月一定額の積み立てを将来の経済的基盤とするほか、ゴミ出しや掃除など生活習慣を身に付ける。定期的な会議や誕生会などのイベントを開き、自立を支え合う仲間をつくる。多摩地域の拠点はいつでも利用できる。

開設に当たって公費は受けていない。空き家の改修費など約30万円は同法人への寄付金を充て、無料で中古家財を提供してもらっている。今後、年約20万円掛かる経費(固定資産税など)はクラウドファンディングなどで賄う予定。

4月に改正児童福祉法が施行され、児童養護施設の年齢制限はなくなったが、自立は迫られることになる。堀崎代表は「おせっかいな大家として退所者の自立を応援したい」と話している。