東京都が法定研修の見直し提言 ケアマネの人材確保へ
2024年05月15日 福祉新聞編集部東京都は4月26日、介護支援専門員(ケアマネジャー)に義務付けられている法定研修の受講料などが現場の負担になっているとして、見直しを求める緊急提言を発表した。一方、今年度、法定研修の受講料を負担する介護事業者に対する補助事業を始める。都内で同様の助成を行う自治体もある。いずれも介護事業者や研修受講料の負担を軽減して、介護支援専門員を安定的に確保するのが目的だ。
40年度に8万人増加必要
厚生労働省の推計によると(介護支援専門員1人当たり担当件数などが現状と変わらない場合)、全国で必要な介護支援専門員数は2025年度が33万4441人、40年度が39万476人。22年度(30万7007人)と比べて25年度は2万7434人、40年度は8万3469人の上積みが必要となる。
厚労省が4月に立ち上げた介護支援専門員に関する検討会では、受講料などの負担が重いことが離職理由の一つとされる法定研修についても議論される。
都の緊急提言では、5年に1度の資格更新の際は働きながら最大88時間の研修の受講が必要なことや、受講料(都の専門研修1.・2.の受講料は計5万8300円)が高額なことが負担となり、人材確保の支障となりかねないと訴えている。
研修や科目間で内容が一部重複することや、研修をオンライン化しても研修の時間数自体は短縮できないことを指摘。さらに24年度介護報酬改定で特定事業所加算の算定要件にヤングケアラーなどに関する事例検討会などへの参加が求められることになり、さらに負担が増える中、介護支援専門員を安定的に確保するには、法定研修制度の見直しが喫緊の課題だとしている。
一方、補助事業は都内の事業所で介護支援専門員資格を活用する業務に従事する人が、今年度法定研修を受講して支払った受講料について、法定研修受講料の4分の3を上限に介護事業者が負担した額を補助する予定。例えば、都の実務研修受講料4万4600円に対し、補助上限は3万3400円となる。
受講は無料にすべき
東久留米市にある社会福祉法人三育ライフ東京事業所は、現在、介護支援専門員が8人おり、法定研修の受講料は法人が全額負担している。今回の都の補助事業を受けて、介護支援専門員として働いていないが、資格を持っている職員らの受講料について、半額自己負担から法人全額負担に変更することを検討している。将来の人材確保や人事異動を備えた対応だという。
我謝悟・統括施設長は「介護支援専門員の質の維持、向上に法定研修は必要」と理解しつつ、「手間や費用が重いことが離職につながってしまうのはおかしい。介護支援専門員は制度の根幹であり、本来、受講料は無料にすべきだ」と話す。