「里親委託100%に」 こども家庭庁の策定要領案に議連が異論
2023年12月20日 福祉新聞編集部「家庭養育優先原則という児童福祉法改正の精神を忘れていないか」――。
7日に開かれた「児童虐待から子どもを守る議員の会」で長島昭久会長はこのように述べ、こども家庭庁が示した策定要領案の修正を求めた。
里親等委託率については2016年の18%からあまり伸びておらず、地域差も大きいと強調。次期策定要領では、乳幼児期は里親委託が原則だと明確に記載すべきと主張した。
前期の策定要領では国の目標として3歳未満の里親等委託率を5年で75%と設定している。そのため同じ目標では「後退になる」(長島会長)として、次期策定要領では原則100%を目標に掲げるよう求めた。
一方、施設の地域分散化や多機能化に向けた計画の進捗状況についても国が把握して公表すべきだと強調。また5年後にはユニット型も含む大舎制の施設は廃止するよう明記すべきとした。
例外としてケアニーズの高いこどもに専門的なケアを行う施設を挙げた。最大で4人ずつの4ユニットとし、早急に計画を立てるべきとしている。
会合では、議員から「里親等委託率を上げる目標を掲げながらも、乳児院の新設を今後も認めるのか」との意見が出た。こども家庭庁の小松秀夫・支援局家庭福祉課長は原則里親委託という方向は同じだとした上で「新規に造らないと打ち出すのは、慎重に考える必要があると思っている。乳児を託す場所がなくなることは避けなければならない」と理解を求めた。
これに対し、塩崎恭久・同議連前会長は「児童相談所の決意を促すためにも新規で造らないことを打ち出すべきだ」と主張。「方向性として乳児院を廃止するくらいのことを考えていかなければならない」と語った。
次期策定要領についてこども家庭庁は年内に決定する方針。ただ、長島会長は「我々が納得できなければ年を越してもやむを得ない」と述べ、議連の提言を受け止めるよう要請した。