令和臨調が社会保障の適正化提言 医療介護は給付見直しを

2023年1213 福祉新聞編集部

令和国民会議(令和臨調)は1日、ザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)で記者会見を開き、社会保障に関する提言を発表した。今後の人口動態や財政状況の変化を見据え、社会保障支出の適正化は避けて通れないと指摘。医療と介護について給付の見直しなどを求めている。

 

具体的に介護に関しては、要介護1と2の軽度者に対して、保険外の民間サービスを念頭に、どういう場合に公的保険を適用した訪問介護や通所介護を活用するのか検討すべきだと提案。また、ケアプランの自己負担や、サービス付き高齢者住宅への介護保険適用、福祉用具貸与費の負担などについても再考を求めた。

 

介護サービスの事業評価が不透明であることや、地域によって要介護認定率に地域差があることも疑問視。全国レベルで介護事業者のデータ連携を進め、施設を定期的に評価することで、質の高いサービスを効率的に提供すべきとした。

 

また、介護現場の人員配置基準の規制を撤廃するなどの改革を行い、ロボットの活用による省人化の生産性向上を訴えている。

 

このほか、適正化効果の試算も示した。介護報酬算定方式の差異の適正化で最大1360億円、軽度要介護者への生活援助サービス適正化で最大1025億円、ケアプラン作成に関する自己負担導入で515億円だった。

 

会見には、社会保障に関する部会で共同座長を務めた平野信行・三菱UFJ銀行特別顧問や翁百合・日本総合研究所理事長が出席した。平野顧問は、金融資産の保有状況に応じた保険料率への反映などを要望。翁氏は「利用者の情報を適切に共有し、生産性や働きがいを高める余地は大きい」と語った。

 

令和臨調は経済界や労働界、有識者ら100人以上が集まり2022年6月に発足。共同代表には茂木友三郎・キッコーマン名誉会長、小林喜光・東京電力ホールディングス会長、佐々木毅・元東京大学長、増田寛也・日本郵政社長が就任。「統治構造」「国土構想」などの専門部会もある。