赤字の特養が6割超 全国老人福祉施設協議会・大山会長「介護崩壊の危機」

2023年1017 福祉新聞編集部
大山会長

2022年度決算で赤字の特別養護老人ホームが62%に上ることが10月3日、全国老人福祉施設協議会(大山知子会長)の調査(速報値)で分かった。前年度から19ポイントも増えた。コロナによる稼働率の低下や物価高騰などが影響した。補助金を含めた場合でも赤字の特養は51%と半数を超えた。

 

調査は約1600の会員特養の収支状況を集計した。補助金を除いた22年度の収支差率はマイナス2・8%。前年度から3・6ポイント下がりマイナスに転じた。併設デイサービスの収支差率も3・8ポイント減のマイナス5%だった。

 

同日のセミナーで大山会長は「介護崩壊の危機にある。地域の核として、セーフティーネットとして、介護を支える施設がどうなるのか本当に厳しい状態だ」との認識を示し、「各施設が自助努力しているから経営できているが、介護報酬を上げてもらわないと継続していけない」と強調した。

 

24年度介護報酬改定に向けた議論が大詰めを迎える中、「各地域で地元の国会議員に陳情していただき、その活動を全国老施協がまとめ、改めて要望していく」とし、参加した会員約500人に協力を呼び掛けた。「今日をキックオフとして1カ月、一致団結して活動していこう」と力を込めた。