障害者65歳問題 千葉市が上告申し立て 「最高裁の判断仰ぐ」

2023年0418 福祉新聞編集部

 65歳になったのを機に障害福祉サービスの支給を打ち切った千葉市の処分は違法だとして脳性まひの天海正克さん(同市・73)が処分の取り消しを求めた訴訟で、市は4月7日、取り消しや損害賠償の支払いを命じた東京高裁判決を不服として上告受理を申し立てた。

 

 市に変更権限のない国制度によってもたらされた障害者間の不均衡が論点になって敗訴したことを問題視し、「(東京高裁判決は)自治体の裁量権の範囲を過大に求めるものであり、受け入れがたい。最高裁の判断を仰ぐ必要がある」と表明した。

 

 この申し立てに、天海さんは「怒りを感じる」とコメントし、最高裁でも争う構えだ。

 

 今年3月24日の東京高裁判決は、天海さんより収入のある障害者が65歳に達して介護保険の利用に移り、「境界層措置」と呼ばれる国の制度によって自己負担がゼロになる例があることに着目した。

 

 判決は、介護保険を利用すれば自己負担が発生する天海さんとの不均衡を避ける裁量権を同市が持つにもかかわらず、その不均衡を回避せずに障害福祉サービスを打ち切ったのは違法だとし、天海さんが勝訴した。

 

 天海さんは2014年7月に65歳になるまで1カ月70時間の障害福祉サービス(居宅介護)を利用し、自己負担はゼロだった。介護保険を利用してからは、1カ月1万5000円の自己負担が発生。15年11月、千葉地裁に提訴し、21年5月の判決で敗訴していた。

 

 千葉地裁は、障害者総合支援法第7条の規定は、65歳を超えた障害者は介護保険サービスの利用を優先する原則だと解釈し、東京高裁もその解釈そのものは支持した。

 

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