高齢者の買い物支援 施設の車両で自宅とスーパーを往復〈神奈川・愛川町〉

2022年0803 福祉新聞編集部
スーパーなどが身近にない地域もあり送迎サービスは利用者に好評だ

 神奈川県愛川町は7月14日、高齢者の買い物支援を目的に、町内の三つの社会福祉法人と協定を結んだ。3法人は、デイサービスの空き時間など施設が保有する車両が空いている時を利用し、1人暮らし高齢者の自宅とスーパーマーケットなどを往復する。今年度は実証試験の期間に位置付け、月に1度の間隔で実施する予定。

 

 協定を結んだ3法人は、愛川舜寿会、愛伸会、フェルマータで、いずれも特別養護老人ホームを運営している。

 

 地域の見守りが必要で、町の「1人暮らし高齢者登録制度」に登録済みの710人の中から、デイサービスなど3法人の利用者12人が選ばれた。

 

 愛川舜寿会、愛伸会が4人ずつ、フェルマータが2人を担当。人件費やガソリン代など、費用はすべて法人側が負担する。

 

 残り2人については、今回の協定に含まれていないが、来年度以降の本格実施の際に参入予定の町社会福祉協議会が受け持つ。

 

 実証試験を経て、実施人数や開催回数の妥当性を精査する。来年度から本格実施するに当たり、3法人が受け持てる限界の人数を超えた場合、超過分を町社協が受け持つことを想定している。

 

 愛川町は神奈川県北部に位置し、山に囲まれている。人口は約4万人で、このうち3割以上が65歳以上の高齢者に当たる。同町の担当者によると、高齢化率が4割を超える地域もあり、その地域には買い物ができる店舗が少なく、1人暮らし高齢者の買い物支援が課題だった。

 

 今回協定を結んだ3法人はいずれも、2016年の社会福祉法改正に伴い、法人の責務規定に位置付けられた「地域における公益的な取り組み」の実施内容を模索していた。

 

 地域課題を解決したい町と公益的取り組みを実施したい3法人が検討を重ねた結果、1人暮らし高齢者の買い物支援の実施につながった。

 

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