障害者が養蜂、商品化 新宿生まれのハチミツ

2022年0629 福祉新聞編集部
そろいのTシャツで採蜜作業をする利用者

 東京都新宿区内の30事業所が参加する「区障害者福祉事業所等ネットワーク」は2019年から養蜂を行っている。養蜂場は3カ所あり、昨年度は約300キロを収穫。大都市の天然ハチミツとして話題を呼んでいる。

 

 区立障害者福祉センターの屋上では約5万匹のミツバチを飼育する。養蜂担当の事業所利用者は、女王バチや働きバチの活動状況を丁寧に点検し、ダニの駆除、給餌などもする。5~8月に数回採蜜し、成分分析後、洗浄した瓶に詰めシールを貼り商品化する。

 

 ミツバチの育成から商品化までの過程に計100人以上の事業所利用者が関わる。同ネットワークの徳堂泰作会長(社会福祉法人東京ムツミ会理事長)は「生き物を育てる自覚が生まれて作業を休まなくなったり自己肯定感が持てたり、利用者の心身に好影響が出ている」と話す。

 

 また、社屋屋上に養蜂場がある伊勢丹新宿店とは、昨年、ハチミツを使った商品開発と販売を行った。

 

 養蜂は同ネットワークの障害者の雇用創出、工賃向上などを目指す「しんじゅQuality」のプロジェクトとして始まった。「養蜂場の提供、養蜂家によるボランティアでの指導など人とのつながりがあって取り組めている」と徳堂会長。参加事業所は同ネットワーク事務局の区勤労者・仕事支援センターから作業量に応じて委託料が支払われている。

 

 今後はオリジナルの商品開発、小学校などで養蜂教室を通じた福祉教育、住民との交流など幅広い展望を描く。採蜜を視察した吉住健一区長も「地産地消でアピール力がある」と期待を寄せている。

 

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