全国で違う生活保護運用 ローカルルールを研究、実例集に

2023年0627 福祉新聞編集部

 元埼玉県職員の大山典宏・高千穂大教授は6月9日、全都道府県で運用されている生活保護のローカルルールを踏まえた実例集をまとめた。各地域の運用を網羅した研究は国内で初めてだという。

 

 生活保護の運用は、国が生活保護手帳や問答集などで定めている。しかし、現場では完全に対応できない例もあることから、都道府県や政令市は独自のローカルルールを策定しているのが実情だ。

 

 そこで大山教授はすべての都道府県と政令市に対して情報公開請求を実施。5年かけてすべてを精査した上で、利用者の立場に寄り添ったローカルルールをまとめた。世帯認定や最低生活費、収入の認定など13章に789問を盛り込んでいる。

 

 例えば、こどもを児童養護施設に預けている親が生活保護を申請した場合、こどもを世帯認定するかどうかについては自治体によって対応が分かれているという。

 

 東京都や埼玉県では、施設で暮らすこどもの生活費は支給しないものの、世帯の一員としては認定する。これにより、施設から一時帰宅する場合、交通費や食事代が支給される。

 

 一方、世帯認定しない自治体では、一時帰宅の費用は支給されず、保護者が負担している。

 

 大山教授は「ルールは現場で悩みながら作り上げてきた先人の知恵。社会福祉法人などで相談窓口を担う人にもぜひ読んでいただければ」と話す。

 

 大山教授は2003年に埼玉県庁に就職。生活保護のケースワーカーとしての経験もあり、県のマニュアル改訂にも関わった。厚生労働省が開催する生活保護担当ケースワーカー全国研修会の講師を務めたこともある。

 

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