「身体障害者補助犬を学校教育に」 使用者が首相に要望
2022年12月12日 福祉新聞編集部身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の使用者が5日、首相官邸を訪れ、岸田文雄首相に身体障害者補助犬法の周知を徹底するよう要請した。特に学習指導要領に盛り込むなど、学校教育の中で補助犬について学べるようにすることが重要だとし、それが補助犬使用者の社会参加につながるとみている。
出席者によると、岸田首相は「皆さんの生の声を政府においてもしっかり受け止めさせていただく。誰もが安心して暮らせる共生社会を実現するために政府も努力していきたい」と述べたという。
岸田首相を訪ねたのは介助犬使用者の木村佳友さん(兵庫)、盲導犬使用者の山本誠さん(東京)、聴導犬使用者の安藤美紀さん(大阪)、松本江理さん(東京)の4人。身体障害者補助犬を推進する議員の会(会長=田村憲久・元厚生労働大臣)の議員も同席した。
飲食店や公共交通機関など不特定多数が利用する施設での補助犬の同伴拒否を禁じた補助犬法は、議員立法により2002年5月22日に成立。しかし、20年を経た今も同伴拒否が後を絶たない。
木村さんは、学校で補助犬を学んだ小学生が成人して鉄道の駅員になり、木村さんがスムーズに駅を利用できた実例を紹介。一方、松本さんは「補助犬法を知っていても拒否する例がある。悪質な拒否にはきちんと指導できる体制を整えてほしい」と要請した。
補助犬法を所管する厚生労働省によると、今年10月の稼働数は盲導犬が848頭、介助犬が53頭、聴導犬が58頭。いずれも近年減少気味という。