福祉新聞フォーラム直前特集 EPAで50人就労(関根徳心会理事長)
2021年11月03日 福祉新聞編集部2014年度からインドネシアのEPA(経済連携協定)介護福祉士候補者を受け入れ、累計で約50人に上ります。受け入れにあたってはインドネシア、フィリピン、ベトナム3カ国の現地合同説明会にも参加し、候補者の家庭も訪問しています。また、EPAとは別に介護福祉士資格を持つ外国人も数人雇用しています。こうした経験から外国人就労についての考えをお話しします。
08年度にEPAの制度が始まったころは、人手不足を外国人の安い労働力で補おうとしていると懐疑的な見方をしていましたが、受け入れ施設を視察して評価が高かったこともあり、受け入れを決めました。
当初の計画は毎年度法人1拠点に3人ずつ、計9人。目的はあくまで候補者の介護福祉士資格の取得です。継続して受け入れることで、介護福祉士資格を取得した先輩が後輩を指導、助言できるような体制を目指しています。候補者それぞれ個性はありますが、利用者に対する関わり方は柔らかくて現地の看護学校を卒業しているため判断力も高いように思います。
一方、外国人就労にはさまざまな問題があります。技能実習や特定技能ができて制度が複雑になりました。EPAで介護福祉士試験に不合格でも特定技能に移行できる「抜け道」ができ、資格取得に本気になれないことも危惧されます。
労働条件にも課題があります。例えばEPA候補者は日本人の大卒程度にするよう求められますが、まだ日本語の会話が十分できない段階の処遇として適当なのでしょうか。候補者の時、介護福祉士試験に合格した時、不合格の時の処遇の違いも必要でしょう。
日本が今後も外国人就労を継続していくための課題にも触れたいと思います。
【せきね・みちお】 1953年4月生まれ。日本大学卒業後、建設会社に就職。1991年1月に徳心会から勤務し、同年4月のあゆみえん開設に携わる。2017年から徳心会理事長を務める。
法人紹介
1990年3月設立。4拠点・36事業(特養4カ所、通所介護4カ所、障害者入所施設2カ所、保育園1カ所など)。総事業収入は32億5200万円(2020年度決算)。定員約1000人。職員数550人(正規400人、非正規150人)。平均勤続年数(正規のみ)は5年8カ月。平均年齢41歳6カ月。