少子化財源の議論開始 医療保険から「支援金」

2023年1121 福祉新聞編集部
あいさつする加藤大臣(中央)

こども家庭庁は9日、支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会を開催した。年末にかけて少子化対策に必要な財源を議論する。初会合で同庁は医療保険を活用して幅広く支援金を徴収する案を提示した。

 

少子化対策の財源をめぐっては、政府が6月に策定したこども未来戦略方針で、徹底した歳出改革と既定の予算の最大限の活用をできる限り行う方針を提示。その上で、社会保険の賦課徴収ルートを活用し、企業を含めた全世代が子育て世帯を支える新たな枠組み「支援金制度」(仮称)を構築する方針を示した。

 

会合で同庁は支援金の徴収方法について、企業や高齢者も含めたすべての世代が支払う医療保険の活用を提示。負担は能力に応じて決める仕組みにする。
一方、支援金を充てる事業については、これまで比較的支援が手薄だった妊娠・出産期から0~2歳の支援策を提案した。具体的には、妊娠期から伴走型で支援する「出産・子育て応援交付金」や、育児休業給付率の引き上げ、育児時短就業給付(仮称)の創設などを挙げた。

 

こうした支援金の規模については、今後の歳出改革の結果により決まるという。同庁は「子育て世帯には給付が拠出を大きく上回る」としている。

 

このほか会合では、「こども金庫」と言われる新たな特別会計についても議論した。費用負担の見える化を進める。

 

会合で加藤鮎子・こども政策担当大臣は支援金制度について「すべてのこどもを対象とする支援を、抜本的に拡充する新しい分かち合いの仕組み」と強調。関連法案を2024年の通常国会に提出する方針を示した。