障害者施設の在り方検討会が発足 地域移行推進へ議論〈厚労省〉

2025年0604 福祉新聞編集部

厚生労働省は5月26日、「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」を立ち上げ、地域移行を推進するため、障害者支援施設の役割や機能などについて議論を開始した。第8期障害福祉計画(2027~29年度)の基本指針の見直し議論が秋ごろに始まることを見据えて検討を進め、年度末までに報告書をまとめる。次期障害報酬改定も視野に入れる。

検討会の座長は小澤温長野大教授。委員は障害者団体、有識者など19人で、うち3人は障害当事者。冒頭、野村知司厚労省障害保健福祉部長は「昨年度の調査研究の内容を踏まえ、障害者支援施設のあるべき姿、今後の障害福祉計画の目標の方向性などについて議論を深めていく場としたい」とあいさつした。

昨年度の調査研究による施設調査では、地域移行について全入所者を対象に取り組んでいる施設は18%。地域移行に取り組んでいない施設は36%あり、理由は「地域に居住の場(グループホーム)が少ない」「地域移行をした際に見守りなどを行うネットワークが不十分」が多いが、「入所者にとって施設が一番適切で地域移行は不要」との回答も一定数あった。

厚労省は施設の役割や機能を議論するにあたり、居室形態や小規模化、日中活動、重度化・高齢化への対応、強度行動障害など専門的支援といった論点を示し、障害福祉計画で定める目標の基本的方向性についても議論していく。

委員からは施設の在り方について「施設で生活課題を解決して本人が望む生活に戻れるようにすべき」(相馬大祐長野大准教授)、「地域で暮らすために施設を活用してもらうという価値観への変容が必要」(岩上洋一全国地域で暮らそうネットワーク代表理事)といった意見が出た。各委員は意見書を提出しており、次回検討会で議論を詰める。