障害者施設待機者、自治体の4割把握せず(厚労省)

2025年0318 福祉新聞編集部

厚生労働省は11日の「障害者支援施設の在り方に係る検討委員会」に入所待機者調査の結果を報告した。全都道府県、指定都市、中核市(129カ所)の中で待機者数を把握してない自治体は4割あり、そのうち9割は今後も把握する予定がなかった。把握してない理由は「入所待ちについて知りたいというニーズが少ない」「待機者の定義付けが難しい」などだった。

調査は待機者の実態を把握するため、昨年11月~今年1月に行った。

待機者数を把握している自治体について、具体的な方法は施設と市町村からの報告が合わせて5割。頻度は4割が毎年、2割が毎月で、障害福祉計画の作成時はわずか1%だった。複数の施設に申し込んでいる人について実人数として把握している自治体は5割だった。

入所を希望する理由を把握している自治体は25%。理由で最も多いのは家族希望の5割で、本人希望は4%だった。また、将来の備えとしての入所希望が65%を占め、半年以内の入所希望は25%だった。優先的に入所させるための緊急性の評価基準がある自治体は3割だった。

待機者の定義は「入所申し込みに対して入所できていない数」が7割で最も多く、「その他」が2割、「緊急性の基準を定めた上で入所できていない数」が7%だった。

障害者が地域生活を送る上での課題は、地域資源や専門人材の不足が多かった。地域生活を促進する取り組みとしては、地域生活支援拠点や重度者も受け入れられるグループホームの整備などが挙がった。

昨年、NHKの調査で全国に2万人超の待機者がいるとする報道があったが、厚労省は待機者数について「自治体ごとに把握方法や定義などが異なるため集計してない」と説明した。

来年度に検討会

同日は前回示された、地域移行を推進するための入所施設調査について、施設に地域移行の意向確認担当者がいると、地域移行の希望者のいる施設の割合が高いなど、新たな集計結果も報告された。また、施設・入所者のヒアリング調査結果についての説明もあった。

委員会は今回で終了し、報告書と事例集を取りまとめる。厚労省は来年度、各調査の結果を踏まえて議論を深めるための検討会を立ち上げる。次の障害報酬改定や障害福祉計画の基本指針作成につなげていく。

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