白杖使って安全乗車 視覚障害者、転落事故防止で訓練(国交省)
2025年01月29日 福祉新聞編集部国土交通省は16日、視覚障害者が白杖を使って駅ホームを歩いて電車に乗る訓練を、東京都多摩市の小田急電鉄多摩線、唐木田駅で実施した。視覚障害者の駅ホーム転落事故は全国で年間約60件発生しており、白杖の使い方、点状ブロックと車両の確認の仕方などを学ぶことで、安全に電車を利用してもらう。
国交省の検討会で現在策定中の「歩行訓練プログラム」を基にした初めての訓練で、30~70代の男女7人が参加した。歩行訓練士に付き添われながら、乗降時は白杖でホームと車両を確認した後で白杖の先端に足を踏み出す訓練や、伝い歩きしている途中で車体が途切れた部分がドアか連結部分かを判断する訓練などを、計1時間半かけて行った。
参加者の大半は電車を1人で利用した経験のある人だが、訓練後「バランスを取って乗ることの大切さが分かった」「ゆっくり確認できたのは貴重な機会になった」「歩行訓練を受けて5年たつが、おろそかになっていたことに気付いた」と感想を話した。ほかにも「ホームで困ったときに駅員呼び出しインターホンがどこにあるか分からない」「ホームで障害物をよけている間に方向が分からなくなったことがある」などの意見もあった。
国交省は今年度内をめどにプログラムを決める予定。プログラムがあることで鉄道会社から歩行訓練の協力を得やすくする。