優生保護 「政府の責任は重大」 石破首相、被害者に謝罪
2025年01月28日 福祉新聞編集部石破茂首相は17日、旧優生保護法に基づく強制不妊手術などに対する補償金支給法の施行に合わせて、首相官邸で被害者らと面会し、「政府の責任は極めて重大。真摯に反省する」と直接謝罪した。また「優生手術といった個人の尊厳を蹂躙する、あってはならない人権侵害を二度と起こしてはいけない」と述べ、障害者に対する差別偏見のない共生社会づくりに力を尽くすとした。
面会には旧法をめぐる国家賠償請求訴訟の原告、弁護士ら28人が参加した。石破首相に要請書を手渡し、すべての被害者への補償、真相究明と再発防止のための検証、継続的な協議の実施などを求めた。
面会後に記者会見した原告団共同代表の飯塚淳子(仮名)さんは「謝ってもらっても私の人生は返ってこない。被害を受けた人に名乗り出てもらい、国は責任を取ってほしい」と話し、弁護団の新里宏二共同代表は「被害者は高齢なのでスピード感を持って対応してほしい。被害者に謝罪と補償を届けるのが加害者(国)の役割だ」と強調した。
都道府県に請求窓口
補償金支給法は昨年7月の最高裁判決で旧法が違憲とされたことを受け、同10月に成立した。強制不妊手術を受けた本人に補償金1500万円、配偶者に500万円、人工妊娠中絶手術を強制された本人に一時金200万円などが支給される。
請求は各都道府県の窓口で行う。補償を広く届けるため、政府は昨年特設サイトを開設。「サポート弁護士」が請求などを無料で支援する。補償金などの請求期限は2030年1月16日。