障害者の職業訓練校見直しを議論 受講者減など課題(厚労省)
2025年01月27日 福祉新聞編集部
厚生労働省は20日、「障害者職業能力開発校の在り方に関する検討会」(座長=松爲信雄神奈川県立保健福祉大名誉教授)の初会合を開いた。開発校の受講者が減少傾向にある中、開発校の専門性や強みを生かした訓練や、受講が増えている精神、発達障害者への対応、関連施策との連携などについて議論する。2026年度から始まる厚労省の「第12次職業能力開発基本計画」に間に合うよう、今夏をめどに報告書をまとめる。
開発校は職業能力開発促進法に基づいて設置され、特別な支援が必要な障害者に職業訓練を行っている。国立13校、県立6校の計19校ある。国立校の24年度予算は約46億円。
全19校の22年度の受講者は1275人で10年前の12年度(1880人)より32%減少している。定員充足率は57%で30%を下回る開発校もある。
こうした背景には、民間企業の法定雇用率が引き上げられたことに伴い、訓練を受けずに就職する障害者が増えたことがある。就労系障害福祉サービスの利用者が増えたことなども要因とされる。
検討会では開発校の今後の在り方を中心に整理する。障害者訓練コースを設置している一般の職業能力開発校との役割分担も課題となる。
また、全19校の就職率は70%で伸び悩んでいることなども踏まえ、訓練科目の見直しや、職業訓練指導員の配置基準なども検討する。
検討会の委員は計13人。同日は「開発校を受講して良かったと思っているのか本人の視点が大事」「地域の社会資源として認識されていない」「就職後の自立生活を見据えた支援も機能として考えられる」などさまざまな意見が出された。