ケアマネ受験資格を拡大へ 検討会が中間整理案
2024年12月09日 福祉新聞編集部厚生労働省は2日、ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(座長=田中滋埼玉県立大理事長)を開き、中間整理案を提示した。ケアマネジャーの担い手不足が課題になる中、受験対象の資格を拡大することなどが柱となる。検討会は座長一任で終了し、今後の制度改正に向けて社会保障審議会で議論する。
ケアマネは社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士などの国家資格を持ち、実務経験が5年以上であれば受験できる資格。従事者は2018年度は18万9754人に上ったが、22年度には18万3278人に減少。また、17年度までは10万人を超えていた受験者数も今では5万人を下回っており、現在の合格者は1万人程度だ。
今後も高齢化の進展により、居宅介護支援や介護予防支援の需要が増えることから中間整理案は、なり手確保や業務負担の軽減に向けた方策を整理した。
新規参入に向けては、次の制度改正で受験対象となる国家資格を新たに追加するよう提案。相談援助技術が重要な要素を占める資格を中心に幅広く受験を促すことが適当だとした。
試験内容も保有する資格の専門性などを踏まえた柔軟な取り扱いを求めた。試験問題も役割の変遷に応じて見直すという。受験に必要な5年という実務経験年数も、一定の要件を満たす場合には見直す方針を示した。
ケアマネは合格した際の実務研修(87時間)、更新研修(初回88時間)、主任ケアマネ研修(70時間)など研修が多岐にわたる。経済的・時間的な負担が大きいため、可能な限り軽減する方針を示している。
また、中間整理案は地域包括支援センターの主任ケアマネについて介護予防業務に多くの時間を費やし、地域の実態を把握する時間が少ない状況を問題視した。実情に応じて市町村が居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの兼務を認めることなどを提案した。
会合では「時代に応じた方法を積極的に取り入れるべき」(日本介護支援専門員協会の柴口里則会長)などと評価する声が相次いだ。一方で「居宅介護支援事業所と地域包括の主任ケアマネはさまざまな課題がある。兼務すると無理が生じるのではないか」(全国地域包括・在宅介護支援センター協議会の川北雄一郎副会長)などと一部反対する声もあった。