県内法人の収益率4.19% 埼玉県社会福祉法人経営者協議会が初調査
2024年12月20日 福祉新聞編集部埼玉県社会福祉法人経営者協議会(池田徳幸会長)は9日、初めて実施した経営力調査の結果を、さいたま市の彩の国すこやかプラザで開いたセミナーで報告した。自法人の状況を13の経営指標別で把握して経営に生かしてもらうのが目的。99法人の回答を集計した(回答率44%)。
県平均の「経常増減差額率」(収益率)は4・19%で全国平均1・82%より高かった。費用面の指標をみると「人件費率」が全国平均と同程度、「委託費比率」が5・51%で全国平均4・3%より高いため、そのほかの費用を抑えることで収益を確保している状況だった。また「債務償還年数」が4・93年で全国平均5・2年より短かったのは、収益率が高いため債務返済が早めにできることがうかがえた。さらに「離職率」が8・23%で全国平均13・6%より約5ポイントも低いことから、法人が職員定着に力を入れている傾向も見て取れた。
調査を受託して行い、結果を説明した川原経営総合センターの田中律子氏は、特に「職員1人当たりサービス活動収益」をポイントに挙げた。県平均は713万円で全国平均681万円より32万円高いが、法人間で約550万円から約1000万円と開きがあったことを指摘し、「職員の1時間の動きに費用が掛かっていることを再認識すべき。職員1人30分だけでも業務を短縮できれば全体で大きく違ってくる。細かい視点の改善が必要だ」と話した。
調査結果から物価高騰の影響で給食費が増える一方で光熱水費が減ったこと、法人の多角化・多機能化は職員定着や経営リスクの分散に効果があったことなども分かった。