重症児らに遊び場「アソビ~ノ」 県内外から180が参加(慈愛会、福岡)
2024年11月12日 福祉新聞編集部福岡県大刀洗町の社会福祉法人慈愛会(平田牧男理事長)は4日、大刀洗ドリームセンターで、障害があっても楽しめるアミューズメントパーク「アソビ~ノ」を開催した。法人の社会貢献事業で、県内外から重症心身障害児や医療的ケア児ら180人が訪れた。
当日は14種類の遊びを準備。寝たまま乗れるブランコや、背もたれ部分を溶接した特注の自転車、光と音でリラックスできる「スヌーズレンルーム」などがあった。
中でも盛り上がったのは、人気ゲーム「マリオカート」の世界観を楽しめるコーナー。モーター付きの電動車いすに乗ってプラスチック製パイプをくぐり抜け、段ボール製のクッパに体当たり。倒れるとスタッフらが歓声を上げた。
障害児入所施設「医療福祉センター聖ヨゼフ園」の地頭方幹さんら若手5人による実行委員会が企画した。地頭方さんは今回の狙いについて「ゲーム性を重視した」と指摘する。「訓練ではなく、こども自身が楽しんで成功体験を得ることで、日々の意欲につながれば」と語る。
イベントは2年前、同園の西島和秀部長がこどもを通所で通わせる保護者から「この子を遊びに連れて行く場所がない」という悩みを聞いたのがきっかけ。初回は職場の仲間にボランティアを募り、自主的に開催。来場者にアンケートを取ったところ、内容に「満足」と答えた割合が100%に上るなど反響が大きかった。
そこで西島部長は同法人の平田良一法人事務局長に実績を説明した上で「地域のニーズは大きい。法人の社会貢献として組織的に取り組みたい」と提案。もともと社会貢献に積極的に取り組んでいた同会はすぐに許可し、予算も付けたという。
活動は評判を呼び、同様のイベントを佐賀や宮崎などで開催する動きも出ている。西島部長は「保護者からは常設での開催や屋外での活動を求める声もある。遊び場をきっかけに相談につなげ、総合的な支援につなげるなど可能性は広がっている」と語る。今後は企業を巻き込んだ活動も検討したいという。