養護老人ホームの措置控え問題解決へ シンポジウムで対応を共有

2024年0731 福祉新聞編集部

茨城県老人福祉施設協議会主催の「養護老人ホームを徹底的に考えるシンポジウム」が18日、水戸市のセキショウ・ウェルビーイング福祉会館とオンラインで開催された。市区町村が費用抑制を目的に入所者を措置しないため同ホームの運営難が続いている問題について、実際は入所措置した分、地方交付税で手当てされていることが説明され、各ホームが市区町村に適切な対応を求めていくことが必要だとした。

同ホームは生活困難や経済的困窮を抱える高齢者を受け入れる施設で、市区町村が入所者を決める(措置)。2006年の三位一体改革により施設運営費(措置費)が地方交付税に組み込まれたことから、市区町村は費用を抑えるため入所者を回さない対応(措置控え)が広がった。

シンポジウムでは自民党の上月良祐参議院議員が、地方交付税の措置費の計算方法を説明。「全国平均の措置者数(人口10万人市区町村で46人)より多いと加算され、少ないと引かれる」と述べた。同ホームへの入所措置を避け、市区町村負担が全体の4分の1の生活保護を適用するケースに対し、「対象者に合ったサービスではなく、市区町村にとって得に見える方を選びがちだ」と指摘した。

同ホームをめぐっては、06年に市区町村が定めた施設運営費の基準単価について、地方交付税における被措置者1人当たり単価が18年間で1・38倍増えているにもかかわらず、ほぼ改定されていない問題もある。

平岡毅社会福祉法人カトリック聖ヨゼフホーム総合施設長は、3月に厚生労働省が自治体に改定の検討を求めた通知を基に奈良県御所市と協議を重ね、1・38倍増分の対応が決まったことを報告。400人超の参加者に向け「この問題に立ち向かっていくことがホームの自立につながる」と話した。