東京都八王子市にある社会福祉法人多摩養育園（足利正哲理事長）の障害者支援施設「精華」が移転改築され、３日に落成式が行われた。横になって過ごす利用者が多いため床暖房を完備するなど、安心してくつろいで生活できる施設にした。足利理事長はあいさつで、コロナや物価高などの影響で計画から６年かかったことに触れ、「入札不調でがっかりして利用者におわびすると、頑張ってと励ましてくれた」と感慨深げに振り返った。

法人は１９４８年に戦争から生還した雲龍寺住職、故足利正明氏が本堂で戦災孤児を養育したのが始まり。現在、都内４市で保育、高齢、障害関係の２０施設を運営している。

新施設は木造・一部ＲＣ造の４階建て。旧施設に隣接していた軽費老人ホームを解体し、２２億円かけて建てた。定員８０人で全室個室。ナースコールも完備する。リビングは熊野杉の木の温もりが感じられ、利用者の状態に合わせた入浴設備も整っている。現在、利用者は２６歳から９５歳まで８０人おり、１５日に新施設に引っ越した。３０代の女性利用者は「楽しみ。カラオケがしたい」と話している。

新施設では人の交流が図れるよう、事務所と多目的室の間仕切りをなくし、作品展示スペースも設けた。以前、この地域にあった正山寺から名付けた正山ホールでも今後さまざまなイベントを行う。足利理事長は「地域の人も参加してプロジェクトを進めており、人がごちゃまぜに集い、つながる施設にしたい」と力を込める。ホールの祭壇では、親交のあるスリランカから寄贈されたダンミッサラ大僧正の仏像が見守っている。