社会福祉法人が地域活性化へ一役 旧ホテル活用し複合施設(福岡)
2023年12月19日 福祉新聞編集部社会福祉法人創生会(福岡市、伊東慎太郎理事長)は来年4月、山口県萩市内の閉館したホテルを活用して、地域活性化に向けた複合施設を開業させる予定だ。市が抱える課題の解決に向け、高校生向け学生寮や看護師寮、賃貸オフィスを整備する。
田中文夫・萩市長と伊東理事長が11月20日、市内の観光施設「萩・明倫学舎本館」で施設開設に関する協定書に署名。市によると、自治体と社会福祉法人が共同で地域活性化に取り組むのは珍しいという。
創生会は市中心部の旧大型ホテル「萩グランドホテル天空」を2020年に取得。本館はおよそ7億円を投じ、有料老人ホーム「グッドタイムホーム・グランド萩」などに生まれ変わっている。
隣接する東館(地下1階、地上7階)の活用をめぐっては、地域課題の解決に向けた複合施設として改修する方向で市と調整を重ねてきた。
整備計画によると、施設名は「グランド萩EAST(仮称)」で、総事業費はおよそ2億5000万円。市から補助金が出るが、大半は創生会が負担。数人を新規雇用し、来年度からの操業開始を目指す。
高校生、市外県外からの派遣看護師の住まいや、企業誘致に必要なオフィスの不足といった市の課題を受け、食事も提供する高校生の寮や看護師寮、賃貸オフィス、移住希望者が滞在できる部屋などを設ける計画だ。
グッドタイムホーム・グランド萩の阿部哲也施設長は「経営を継続させて地域活性化の一つのモデルケースになれるよう頑張りたい。有料老人ホームの入居者との交流も図り、多世代共生の施設を目指す」と意気込んだ。
創生会=1972年創立、翌年に特別養護老人ホーム「奈多創生園」(福岡市東区)を開所。現在、宮城や長崎など9都道府県で特養や養護老人ホーム、通所介護など72事業所を展開する。職員数は2286人。また、創生会などの社会福祉法人、医療法人、株式会社計14法人で「創生会グループ」を構成しており、19都道府県で479事業所を運営。職員数はおよそ1万人。