外国介護人材、訪問系へ拡大検討 厚労省検討会が初会合

2023年0731 福祉新聞編集部

厚生労働省は介護の技能実習、特定技能、EPA(経済連携協定)における固有要件の緩和に着手する。7月24日、「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」で議論が始まり、年内をめどに意見をまとめる。論点として「訪問系サービスへの従事」「人員配置基準算定の緩和」「事業所開設後3年要件の緩和」を挙げた。

 

現在、政府の有識者会議が技能実習を廃止し新制度の創設を検討していることなどを受け、検討会が発足した。有識者会議が今秋まとめる最終報告の内容に合わせた議論を行う

 

検討会の冒頭、朝川知昭・社会・援護局長は「外国人介護人材関係施策をより良い方向性に推進するため、検討会の議論を通して制度改正などに取り組みたい」と述べた。座長は臼井正樹・神奈川県立保健福祉大名誉教授が務め、委員は事業者団体、専門職団体、学識者ら15人。

 

介護は対人サービスであることなどから他分野にない固有の要件が設定されている。現行では訪問系サービスへの従事は技能実習、特定技能、EPAとも認められていない。利用者宅で1対1になるため、言葉や文化の違い、人権擁護などに配慮しているためだ。

 

人員配置基準について、技能実習、EPAでは日本語、介護技術が一定程度向上する就労開始6カ月後から算定できるようになっている。また、技能実習の安定した受け入れを担保するため、設立後3年以上の事業所に限定している。

 

同日は各論点について賛否それぞれ意見があった。訪問系サービスへの従事では「1対1が基本なので適切な指導体制などの問題を払拭しないままでは難しい」「1対1にならないサービス類型、例えば訪問入浴などから検討してはどうか」などの発言があった。

 

検討会は次回以降、各論点について議論を深めていく。今後、論点が追加されることもあるという。

 

介護の外国人在留者は、技能実習が1万5011人(22年6月)、特定技能が1万9516人(23年3月)、EPAが3213人(同6月)いる。

 

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