職員の意見で職場環境改善 朋愛会、法定超える特別休暇も

2023年0323 福祉新聞編集部
女性も働き続けられる環境を整備している

山口県下関市で特別養護老人ホーム「みどり園」などを運営する社会福祉法人朋愛会(木下毅理事長)は、職員の意見を反映させた働きやすい職場づくりに力を入れている。特に出産、育児、親の介護など職員のライフステージに合わせた特別休暇を充実させている。将来の人手不足にも危機感を持ち、人材確保、定着に取り組んでいる。

 

法人では産休、育休はもちろん、5日の取得が義務付けられている有給も10日以上取得するよう推奨している。加えて月1回開く安全衛生委員会に4人の職員(常勤3人、非常勤1人)に参加してもらい、現場の声を聞いて職場環境の改善につなげている。

 

例えば、「子育て応援休暇」は育休を取得していない職員がこどもとの時間が持てるよう、2歳までに14日間休める。育児・介護休業法では「子の看護休暇」はこどもが就学前までが対象だが、小学5年まで広げ、「短時間勤務」はこどもが3歳までだが、小学校就学前まで利用できるようにした。また、始業、終業時間の変更にも柔軟に対応している。

 

「労働人口が減る中、女性が活躍できる環境づくりに積極的に取り組んでいかないと事業が成り立たくなる」(宇内祐司・みどり園長)と整備を進めてきた。

 

その結果、出産後も安心して働けることで産休、育休の取得率、復帰率は100%で、こどもの看護休暇も延べ69人が利用(2020年度)しており、厚生労働大臣認定の子育てサポート「くるみん」と女性活躍推進「えるぼし」の両方の認定を県内で初めて受けた。

 

一方、全職員(約130人)の5割が50代以上であることから、「介護休暇」は法律では2週間以上、常時介護が必要な人を対象とするが、75歳以上で負傷、疾病が確認できる場合とし、親の通院の付き添いなどができるようにした。70歳までの継続雇用制度も設け、長く働ける環境も整備している。

 

ほかにも、週3日のノー残業デーやテレワークを導入。今年度、法人独自に学生らの修学支援資金、職員の資格取得支援の貸し付け制度も創設した。

 

休暇を取る職員が重なると現場に人手が足りなくなることが懸念されるが、それを見越して職員を手厚く配置しており、代替職員も採用していないという。ただ、宇内園長は「人件費がかさむことは避けられず、頭を悩ませている。給与改善だけでなく、職員配置基準の見直しを含めて働きやすい職場環境対策も考えてほしい」と国に注文する。

 

下関市の特養入所待機者は約1000人(21年6月)いるが、現役世代の減少、労働市場の多様化などで人材確保はより厳しさを増していく。宇内園長は「若年層が福祉に目を向けてくれる労働環境をつくらないといけない」と話し、今後も改善を重ねていく。

 

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