児童養護施設を核に多機能化 子育て支援でコンビニのような存在に 光明童園(熊本)
2026年05月09日 福祉新聞編集部
熊本県水俣市にある社会福祉法人光明童園(堀浄信理事長)は児童養護施設を核に、子育て世帯への訪問やこどもの居場所の提供など多機能化を進めている。虐待予防へ向けた取り組みでは市役所の一角に職員の机があるなど、市と連携しているのも大きな特徴だ。同法人は「悩み事があればいつでも気軽に寄れるコンビニのような存在を目指したい」と話す。

地域を支えるオリーブの木
地域支援に力
同法人はもともと、戦後の混乱で非行に走るこどもたちを受け入れる施設を開設したのが始まり。現在2カ所で運営する児童養護施設には約80人のこどもが暮らしている。昨秋から、児童養護施設と同じ敷地の別の建物で、一時保護の専用施設の運営も始まった。
同時に、熊本県からの委託で、子育て家庭の相談などに乗る児童家庭支援センター(児家セン)も担う。また、学校や家庭で課題を抱えるこどもが通う、児童育成支援拠点事業や、職員が子育て家庭や妊産婦の自宅に出掛けて支援する子育て世帯訪問支援事業も行う。このほか、子育て家庭の交流を後押しする地域子育て支援拠点事業や児童館も実施。地域住民が子育てを助け合うファミリーサポートセンター(ファミサポ)なども行い地域支援にも力を入れる。
市役所にも机
光明童園のこうした取り組みについて諫山直子副園長は「どんな家庭でも丸ごと受け入れられるのが特徴だ」と話す。多機能化が始まったのは2009年から。最初は同市からの要請でファミサポを運営し、19年に病児保育、21年に児家セン、23年に親子支援事業へと広がった。24年からは児童福祉法の改正で創設された児童育成支援拠点や、訪問支援なども開始した。中でも、児家センの職員の机が同市役所内にもあるのが大きな特徴だ。もともと他県で同様の取り組みがあるのを知り、法人自ら市に働き掛けた。
3年前からは相談員が1人週3日、市役所に出勤。その結果「市役所内での人脈も大きく広がり、情報量が格段に上がった」(諫山副園長)と言う。また、市と光明童園で定期的な情報共有の場も持っている。
少子化で事業シフト
多機能化の背景には少子化に伴う地域ニーズの変化がある。熊本県最南部に位置する同市の人口は2万人ほど。かつて800人ほどだった年間の出生数は、今では100人を切る状況だ。
これに伴い、光明童園が運営する児童養護施設の定員は86人から52人に減少。市内で社会的養護に取り組む社会福祉法人は光明童園以外にないこともあり、結果的に虐待を予防するための支援へとかじを切った。
今後は民間の立場で市内すべての子育て家庭にアプローチする環境づくりも視野に入れる。虐待ゼロが大きな目標になっている。堀理事長は「デパートとまではいかないが、コンビニのように多様な商品があり、日ごろから誰でも通えるような存在を目指したい」と話している。
光明童園 堀理事長の祖父で、浄土真宗西念寺の住職でもあった初代理事長が1947年、戦後の混乱により非行に走る少年らを保護する教護施設を開設したのが始まり。当初は水俣市から2キロほど離れた無人の恋路島にあったが、その後、寺の境内へ移転し、事業内容も児童養護事業へと変わった。

