身寄りない高齢者に新事業 社会福祉法など一括改正案を閣議決定

2026年0411 福祉新聞編集部

 政府は3日、頼れる身寄りのない高齢者らへの支援強化を盛り込んだ社会福祉法などの一括改正案を閣議決定した。日常生活だけでなく、入院時や死後の葬祭なども支える事業を創設する。単身世帯や孤立した人の増加、福祉に携わる人材の不足といった現状に対応できる基盤づくりが改正の狙いだ。一方、給付や負担に関わる改正は一部にとどめた。施行は一部を除いて2027年4月1日。

 一括改正案は介護保険法、老人福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法、生活困窮者自立支援法、社会福祉士及び介護福祉士法などを束ねたもので、改正内容は多岐にわたる=表参照。

 全体を通した目標は「質の高い福祉サービスの確保と社会福祉事業等の安定した経営基盤の確立」で、今後のさらなる人口減少を見据えたものが多い。身寄りのない人への支援は、社会福祉法の「福祉サービス利用援助事業」を「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」に改め、「等」に葬祭など死後事務を含めた。

 また、この事業の利用者像として「近隣に居住する家族がいない」「生計困難者」を加えた。この改正は公布から2年以内の施行とした。

介護事業所維持へ中山間地に新特例

 人口減少下でのサービス基盤維持を意識したのは、厚生労働省令で定める予定の「小規模な市町村」への対応だ。高齢、障害、児童といった分野ごとの相談事業を一体的に行えるようにする。

 介護保険のサービスについても、人手不足によって事業所の維持が難しい中山間地などでは、人員配置基準を緩和した新たな特例を設ける。

 人材確保については、関係団体を集めた協議会を設置するよう都道府県に努力義務を課した。また、働く人の負担を減らす規定も盛り込んだ。

 例えば、介護福祉士養成施設卒業生については、国家試験に不合格でも介護福祉士として働ける経過措置を延長する。ケアマネジャーの資格更新制も、負担が重いとの指摘に応じて廃止する。

災害時派遣に登録制

 相次ぐ自然災害を踏まえ、防災について条文を加えたのも今回の改正の大きな特徴だ。

 介護福祉士らによる都道府県の「災害派遣福祉チーム」(DWAT)については、国によるチーム員の登録制度を導入する。

 現在は厚労省の通知に基づいて都道府県ごとに登録し、全国に約1万人いる。改正案は社会福祉法に位置付けて、研修や訓練などについて定めた。

 地域福祉についても防災をはじめ地域再生、消費者の利益の擁護といった施策と連携して取り組むよう国と地方公共団体に努力義務を課した。

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