高額療養費、上限額8月に引き上げ 見直し案を決定〈厚労省〉

2026年0111 福祉新聞編集部
厚生労働省

厚生労働省は昨年12月25日、医療費の患者負担を月ごとに抑える「高額療養費制度」の見直し案を固めた。長期にわたって療養する人や低所得者には配慮しつつ、今年8月から月ごとの上限額を引き上げる。2027年8月からは所得区分を細分化し、高い区分の上限額をさらに上げる。

24年年末の見直し案と比べて上げ幅を小さくするため、27年度の医療費の削減額は約半分の2450億円にとどまる。社会保険料の軽減効果は1人年間1400円程度になる。

同日の社会保障審議会医療保険部会(座長=田辺国昭東京大大学院教授)に示し、了承された。同制度の見直しに当たる専門委員会の委員も出席した。

専門委員会の委員で全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は長期療養者への配慮について謝意を表明。一方、月ごとの上限額については「十分抑制されていない。さらなる抑制を検討してほしい」と要望した。

大黒宏司日本難病・疾病団体協議会代表理事は、受診抑制を懸念しつつ、社会保険料の軽減効果が1人月100~200円に過ぎない点を指摘。「保険料の軽減効果が小さく、患者のリスクは大きい」と疑問を呈した。

見直し案における長期療養者への配慮は2点。一つは上限額を直近12カ月で3回を超えた場合に、4回目から上限額を下げる「多数回該当」について現行水準を維持する。

もう一つは年間上限額の新設だ。多数回該当にならない人でも、年間の合計で負担が重くなる例があるため、上限額を設けることで負担を抑える。

一方、上限額に達するのが年に1~3回の人の上限額は上げる。この制度を利用する人の多くは年に1~3回に当たるため、見直し後は負担増になる。

ただし、住民税非課税世帯や所得区分が年200万円未満の人については、26年8月は上限額を上げるが、27年8月は据え置く。

高額療養費制度は、患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を保険で払い戻す仕組みだ。24年末の見直し案は患者団体の反発を受けて政府が撤回。厚労省は25年5月から専門委員会で再検討してきた。

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