新事業で社協は正念場〈コラム一草一味〉

2026年0110 福祉新聞編集部
結城康博教授

結城康博 淑徳大学 教授

昨年、厚生労働省は「頼れる身寄りのない高齢者への支援」として、新事業を展開することを決めた。いわゆる「身元保証人」が居ない高齢者対策である。民間会社などの「高齢者等終身サポート事業」は費用面で利用できる人が限られる。そこで厚労省は、中低所得層でも利用できる新事業を、法改正を経て社会福祉法「第二種社会福祉事業」として位置付けるようだ。そして、社会福祉協議会や社会福祉法人を実施主体として考えているという。

もっとも、人手不足が深刻で新事業に手を挙げる社会福祉法人は少なく、多くは県や市町村社会福祉協議会が実施主体とならざるを得ないであろう。確かに「日常生活自立支援事業」などを担っている社協が、これらの受皿の中心になることは妥当である。すでに先進的な実践例もあり、たいへん素晴らしい事業と評価できる。

しかし、全国的な仕組みとなるならば、新事業にどれだけの国庫負担金もしくは補助金(公費)が予算計上されるかが注目される。昨今の財政状況を鑑みれば、十分な人件費が保障されないのではないだろうか。

取り越し苦労で終わればいいが、一部の社協を除いて、おそらく新事業によって現行業務と併せて、多くの職員の仕事量が増えるに違いない。そうなると、人材の確保・定着に大きな課題となる。

私は大学で社会福祉士の養成に携わっているが、10年以上前と比べて社協の人材確保が厳しいと実感している。かつて社協の就職希望者は多く、就職後に辞める卒業生は少なかった。

しかし、昨今「先輩の話から社協は残業が多いので考える」「就職したが、事務仕事が多く社会福祉士としての『やりがい』を感じられられない」といった、ゼミ生らの声を聞くことがある。人口減少社会において、社会福祉士として現場で働く者が減少していると感じている。

新事業において十分な人件費が予算計上されなければ、社協は不人気職場となるのではないかと心配だ。今後、正念場を迎えることになるのではないだろうか。

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