特養にリハビリ課 サークル活動が本格化〈杏樹会・埼玉〉
2025年12月02日 福祉新聞編集部
埼玉県入間市の社会福祉法人杏樹会(大久保秀男理事長)が運営する特別養護老人ホーム杏樹苑、杏樹苑滔々館に「機能訓練課」が設置されて今年で2年目を迎える。理学療法士や看護師など専門職を配置し、利用者個別のリハビリや日々のサークル活動、年間行事の支援などを行っており、利用者の行動に変化が生まれてきた。
杏樹苑の正面玄関に大きな飾りがある。紅葉やサツマイモなど秋をイメージしたものに、ブドウやモグラなどを色とりどりの折り紙で表現している。
特養の利用者とショートステイの利用者、合わせて40人ほどの合作で、製作期間2カ月の大作だ。完成品を見た利用者は口々に「すごい出来栄え」「ここは私が作った」と喜んでいたという。
機能訓練課設置の検討を始めたのは2020年。機能訓練加算の要件に基づいて専門職を配置することで、利用者が暮らしを継続できる楽しい居場所づくりを目指した。
しかし、人材難もあって専門職の採用は難航。検討開始から3年が経過しても人材が集まらなかった。24年にようやく理学療法士が入職。その後、作業療法士や看護師などが集まり機能訓練課設置となった。
課を立ち上げた理由について、新井千香介護部長は「立ち上げ前までは、職員(介護福祉士)が利用者を支援する傍らでサークル活動を行っていた。時間も手も回らない状況を改善する必要性を感じていた」と説明する。
同課の活動が本格化したことに伴い、「普段は機嫌が悪いことが多い利用者もサークル活動中は没頭し、周囲に感情をぶつけることが少なくなった。精神的に安定してきたように感じる」と新井部長。
人件費の高騰の影響もあって加算だけでは賄えず、法人からの持ち出しでカバーしている部分も少なくない。それでも新井部長は「周辺施設との差別化にもつながっている」と継続していく方針だ。

