手話施策推進法が成立 習得機会確保など規定
2025年06月28日 福祉新聞編集部
手話に特化した初めての法律となる「手話施策推進法」が6月18日、衆議院本会議で全会一致により可決、成立し、25日に施行された。手話を使う人にとって手話は言語であり、重要な意思疎通の手段であると位置付けた。手話を必要とするこどもの習得支援や、地域で手話を使って暮らせる環境の整備などを基本的施策として定め、国や自治体の責務と明記した。
同法は、国連の「手話言語の国際デー」と同じ9月23日を「手話の日」と規定。施策の柱には「手話の習得、使用」「手話文化の保存、継承、発展」「手話に関する国民の理解、関心の増進」の三つを掲げた。
具体的には、手話を必要とするこどもや保護者に対し、情報や習得機会を提供。学校で手話による教育ができるよう指導方法の研修を行い、職場で手話を使える環境を整備するため事業主に情報提供する。手話に関する専門人材の養成、確保にも取り組む。
災害時における手話による情報提供や、中途失聴者が手話を習得する機会の確保も定めた。手話文化などの調査研究や、国際交流の支援も盛り込んだ。
国はこれらの施策を行うために必要な財政上の措置を講じ、手話を使う人たちの意見を施策に反映させる。施行後5年をめどとした検討規定も設けた。
同法は超党派の議員連盟が案を取りまとめ、6月12日の参院内閣委員会に提案されて可決。翌13日に参院本会議で可決後、衆院に送付されて内閣委員会で可決。18日に成立した。今国会の会期末が迫る中で短期間での成立となった。