経営難で事業停止 秋田の男鹿偕生会が破産手続き
2025年06月23日 福祉新聞編集部
秋田県男鹿市で特別養護老人ホームなどを運営していた社会福祉法人男鹿偕生会が、経営難により3月末に事業停止した。その後、6月3日付で秋田地裁により破産手続きが開始された。経営難による社会福祉法人の事業停止・破産は全国的にも珍しい。
同法人は、1982年8月5日設立。翌年4月1日に特養「偕生園」を開設、運営を開始した。2010年には地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護「わだつみ」を新たに開設。このほかショートステイや訪問入浴介護事業などを展開していた。現況報告書によると、24年4月時点での職員数は38人。
市によると、23年12月ごろに職員の退職が相次ぎ、その数カ月後に採用が追い付かないという相談を法人から受けたという。
その後、経営コンサルタントを導入するなどして経営改善の道を模索。24年11月に50人だった特養の定員を30人に減らし、運営継続を図ろうとしていた。
しかし、一向に職員採用状況が改善しないことに加え、利用者数も減少傾向にあり、わだつみ建設時の負債約1億6200万円の返済見通しも立たないことから、今年3月末での事業停止に至った。既に利用者は市内外のほかの施設に移されている。
市内の介護サービス事業所は、同法人の施設を除くと特養3カ所、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護2カ所、介護老人保健施設2カ所、ショートステイ14カ所が残る(6月時点)。