社会保障改革、11万床削減で3党合意 医療費1兆円減と試算

2025年0614 福祉新聞編集部

自民、公明、日本維新の会の3党は6日、社会保障改革に関する実務者協議を開き、保険料負担の軽減に向け、医療機関で余剰となっている病床を約11万床削減することで合意した。2027年4月までの約2年間で削減が実現した場合、医療費を約1兆円削減できるとの試算を盛り込んだ。

その実現のため、政府が今国会に提出した医療法改正案に修正を加えて成立を図ることについても合意した。病床削減に慎重だった日本医師会は9日、国による財政支援の伴った削減である点に着目し、「前向きに評価する」と表明した。

11万床の内訳は一般病床・療養病床が約5万6000床、精神病床が約5万3000床。その削減を支える国の給付金の合計は2年で4800億円。

一方、病床削減によって減らせる医療費は2年で1兆4000億円と見込んだ。そこから国の給付金を差し引いて約1兆円を削減できると試算した。

介護・障害福祉人材 処遇改善を機動的に

このほか合意文書は、介護や障害福祉に従事する人の処遇改善について「政府が過去に実施した措置を念頭に報酬改定や予算措置、交付金措置を組み合わせて機動的に必要な対応を行う」とした。

3党は2月、2025年度予算案の修正をめぐる合意文書に署名し、現役世代の保険料負担を軽減する観点から社会保障改革について3党で協議することを決めた。

その際の合意文書は、「国民医療費を年間4兆円以上削減し、現役世代1人当たりの社会保険料を年間6万円引き下げる」とする維新の主張について「念頭に置く」としていた。

首相「対応を急ぐ」

6日午後の衆議院予算委員会で石破茂首相は、病床削減の合意に関する阿部圭史氏(維新)の質問に「必要な対応を適切に行う。医療法改正案の成立を図り、対応を急ぎたい」と答弁した。

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