障害児支援、所得制限の撤廃要望 親の会、「所得逆転」も問題視
2025年06月13日 福祉新聞編集部
障害児福祉にかかる所得制限の撤廃を求めて「こどもまんなか障害児福祉を望む親の会」(会長=中西美穂NPO法人サードプレイス代表)は6月2日、厚生労働省で会見。親の所得によってこどもへの支援に制限をかけることは、国が目指すこどもまんなか社会とは言えないと訴え、「所得逆転」問題の解消も求めた。
現在、特別児童扶養手当は1級(重度)5万5350円、2級(中度)3万6860円が毎月支給されるが、扶養が2人の場合、所得が535万6000円を超えると支給されない。月1万5690円支給される障害児福祉手当も、扶養が2人の場合、674万9000円以上の所得があると支給されない。また、児童発達支援などの障害福祉サービスは、世帯年収が約890万円を超えると最大3万7200円の自己負担がかかる。
親の会は、障害児の育児には費用や手続きなどの負担がある中、親の所得や扶養人数により受けられる手当やサービスに差が生じることで、生活はさらに追い込まれてしまう。将来の不安を抱えていることを訴え、所得制限の撤廃を求めた。
所得制限の基準について、児童のいる世帯の平均年収が813万円であることからすると、中間層の世帯から所得制限されていると主張。障害児2人の場合、年収1000万円と800万円の世帯の比較では、手取り額は年収800万円の方が約60万円多くなる「所得逆転」が起きていることも説明した。
親の会は「どこに住んでいても、障害があっても、安心して暮らせる制度設計をお願いしたい」とした。