障害者差別根絶へ行動計画 政府、障壁除去は社会の責務

2025年0112 福祉新聞編集部
首相官邸ホームページより

政府の「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」(本部長=石破茂首相)が12月27日に開かれ、国が取り組む行動計画を決定した。障害による障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」の考えの下、結婚、出産、育児を含めて障害者が希望する生活の支援など三つの重点事項を掲げた。

推進本部は昨年7月、旧優生保護法下の障害を理由とした強制不妊手術を違憲とした最高裁判決を受けて設置された。約20の障害者団体などから意見を聞き、障害者への偏見差別、優生思想の根絶に向けた内容を検討してきた。

希望する生活の支援では、自治体、支援者向けの解説動画や障害者にも分かりやすいリーフレットの作成、こども家庭センターと障害保健福祉部局が連携した相談対応などに取り組む。

そのほかの重点事項としては、公務員の意識改革の強化も盛り込んだ。障害者を講師とする研修の実施や、旧法の措置を含めた教材の作成などを行う。また、すべての人が相互に理解を深める取り組みの強化も掲げ、インクルーシブな学校運営モデルの構築、障害の有無を問わない交流イベントの実施などに取り組む。

行動計画は旧法下における強制不妊手術のような事態を「二度と繰り返さない」と強調。今後も障害者が感じる問題意識について継続して検討し、行動計画をフォローアップして必要な施策は速やかに実施することにしている。

石破首相は会合で「障害のある人たちが受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視はあってはならないものであり、同時に障害がある人はかわいそうであり、一方的に助けられるべき存在であるといった考えも誤り」と述べ、各大臣に行動計画の着実な実施とフォローアップを指示した。